2018年1月31日水曜日

1月30日の唄



「テーマがあるときめやすい
目標をしぼって  それにむかって
76年間生きてきたけど

きのうのたのしいうれしい言葉が大好き
この言葉にささえられて
人生がとうといものに感じる」




そう書きながらも母は
自分の不自由さに昨日は
私に気を使いながら
たくさん辛い気持ちを吐き出した

そりゃあそうだ
母は辛いに決まってる

からだのほとんどが
動かなくなってしまったんだもの

でも  なげいてもしょうがないことも
ようく知っている
前向きでいた方が元気も出てくるものだ



今日は父も前向き  元気!

母のお見舞いに行こうと  まさに今
ソワソワと準備をしているところ

お見舞い時間の3時まで
気持ちが保てるかな

さてどうなるか


2018年1月30日火曜日

1月29日の唄



「たのしい心  うれしい心
どっちも私はいつももっていたい

生きていくことは
2つがあって  私はしあわせ」




確かに母は  いつも冗談ばかり言って
場を明るくするのが得意

今も  看護師さんと
しゃべり過ぎてしまう  と
しょっちゅう反省している

20年くらい前にも
長期間入院してたけど
その頃の楽しかった思い出を
よく話してくれる



2月始めに  海が見えるリハビリ病院に
転院することが決まったので
またそこで  楽しい時間が過ごせたらいいな

母は父と一緒に入院すると思い込んでるけど

まあ  入院は無理だけど
次の病院には
父がお見舞いに行けますように

一緒に海が見れますように


2018年1月29日月曜日

1月28日の手紙



「パパ  大変だね  さむいから
しっかり身を守ってね

私は美穂がきてくれるのたのしみ
ありがたいねえ

病院になれるのは
なんともなさけないけど
これも私の人生だから
しょうがないよね

こりてもこりても
どうもこれが私の人生

いやがってばかりいても
前に進めない

なんとかなるさで生きていく」





母が手紙を書くとき
せんせいっ  いいのできましたね!
と褒めると
顔をクチャクチャにして笑う

入れ歯が合わなくなってしまったので
歯が2本しかないのが
またかわいい

本人は  入れ歯なしで人と話すのは
すごく嫌だと言って気にしてるけど



寒さのせいで
病気の症状がぶり返してしまった父

夜中起きているのがわかるので
私もなかなか眠れない

昨日もいろんな症状が出てて
大変そうだったけど
症状がおさまってるときの発言はとても優しい


母に  何かほしいものがないか聞いてきて
というので聞いてみたら
ほしいものなんてないよ  と言った


2018年1月28日日曜日

1月27日の唄



「毎日この考えたこともなかった生活に
自分の心  おだやかにもって
平穏な心は自分しだい

おちついて考えました

子供にかえって前に進むのがらくみたい

無も悪くない

たのしい心は自身のもの」




母が前向きでいる努力を惜しまないのは
きっとずっと  辛い思いをして生きてきたから

父はネガティブモードに躊躇なく身を投じる
辛そうだけど  ほとんどが思い込みだし
父を取り巻く現実は
そう悪くない


父はお医者さんも薬も嫌いなので
藤川徳美さんという心療内科の先生が指導する
サプリメントでの治療を参考にしている

自分で治そうという気持ちが薄いことから
ダイレクトにサプリを摂ることはあまりなく
私がいろいろ飲み物に混ぜて
嫌にならない程度に摂っているけど

ここ最近の寒さで再発している症状が  本人も辛いらしく
B-50 コンプレックスというサプリが良さそうなのだけど
喉の詰まりでカプセルが飲めないので
粉を飲むには苦いから  これはちゃんと説明して
飲んでもらえたらいいなーと思っていた

始めは  しぶるしぶる

だめかー
まあ  ケンチャンと私で飲めばいいか


そのまま放っておいたら
父が自分から飲むと言ってきた

苦そうに飲んで
もうやだって言うかな  と思ったけど
今朝も自分から  飲むって言った


治したいって
思ってくれるようになってきた


2018年1月27日土曜日

1月26日の唄



「こんな人生だけど
たのしいことさがして人の助け

人間としてはずかしくないように

人間はすばらしいむげんの力を
もって生きているにちがいない」




午前中のリハビリの時間に
書かせてもらったそう

からだを動かすリハビリは
物足りなくなってきた  と母

リハビリ病院に転院する意欲が出てきて良かった


書いたり歌ったりするリハビリの先生は
とてもやわらかくかわいらしい方で
きっと母も気持ちを表しやすいんだろうな


それにしても  相変わらずアツイなあ


2018年1月26日金曜日

1月25日の手紙



「パパ  寒いね  大丈夫
まだ冬だね
気をつけて  おふろとか

春はまだ先だからね

しっかり生きてみようよ

ちゃんと春は来るからね

パパの春ももうすぐ」




48年ぶりだとかの寒さで
昨日は父も母も辛そうだった

ついでに私も辛かった
家に充満する「辛い」を
ついつい受け取ってしまうようで


介護うつ  というのがあると教えてもらった
緊張が続くので  気づいた時には
疲れ果てていたりするみたい

私もずっと  緊張し続けていたな


気持ちを他に向けられる時間があるといいね
と  友達が言ってくれたので
なんとなくピアノ教室とか
歌の教室とか  調べてみた

からだだけあればできることがいいな

ケンチャンは鎌倉に来てから
毎朝ジョギングで発散してる

私はオペラとか
歌っちゃおうかしら

Ave  maria〜〜


2018年1月25日木曜日

1月24日 手紙なし



昨日からグッと寒くなった

河谷の家も
雪が積もっているだろうな

いつも電話をくれる
父の姉の長野のおばちゃんちも
すごいことになってるかもな
足が痛いのに  雪かきは大変

雪がおさまった頃
大変だったよーと
また電話をくれるかな



父も母も  長野の北部で育った

当時の少年達は  たくましく
父も  雪の中でも  裸足に下駄を履いて
自転車で学校に通ってたよ  と
母の妹のおばちゃんが教えてくれた

父のいる中学校に転校してきた母は
父には光って見えたのだろう  と
母とおばちゃんは  楽しそうに回想してた



今住んでる家の周りは
いつの間にか家だらけになっていて
窓からは家しか見えない

山が見えたらいいのに  と
父がつぶやいた日があった

私が田舎好きなのも
小さい頃  夏休みも冬休みも
いつも長野で遊んでいたからだと思う


いつか長野に帰ったら
ふたりはもっと幸せなんじゃないか
と思う今日この頃


2018年1月24日水曜日

1月23日の手紙



「パパ  二人でがんばっているね

お天気いろいろ変わるから
頭スッキリさせているのもむずかしいよね
春は頭スッキリさせるのむずかしいね

つらいだろうけど  がんばっていこうね
しょうがないもんね
これくらいでちょうどいいんじゃないの
ふつうの人もみんな  こんなもんじゃないの
人生なんてドンマイ」




昨日の父は  ずっと喉が苦しくて
「お母さん  元気過ぎて読みたくない」
と言って  読まなかった

母は本当はもっと元気なんだけど
父の様子を私に聞きながら
父が嫌がらないように  と
母なりに配慮しながら手紙を書く

父は嫌そうにする時もあるけど
結局やっぱり嬉しいんだ
ということがわかってきたから
もう少しのびのびと書けたらいいね



母の字はずいぶん上手になってきて
ごはんも自分で食べれるようになってきたとのこと

夜勤の看護師さんが
朝ごはんを食べさせてくれながらも  半分寝ているので
看護師さんのためにがんばっているそうだ


2018年1月23日火曜日

1月22日 手紙なし



大雪の中  母に会いに行こうかな
と言い出した父

昨日はこころが軽かったみたいで
いろんな発言に
また希望を見せてもらった


でも  やっぱり
豪雪にはかなわなかった

それで良かったと思う

焦ってもろくなことはないね
と言うようになった父

今までは  元気な日は飛ばしまくってたからなー

その気持ちも  ようくわかるけど



雪の中  母に会いに行ったら
大きな声で  喜んでくれた

北海道が長かったし
京都も雪が降るし
こんなのよゆうだよ〜


父は洋服や布団の重さに超うるさくて
カーディガンを買ってあげたのに
「重くて死んじゃう 」と言って
ずっと着なかったんだけど
今日は来てたよ  と母に言ったら

「イイネ〜〜!!
それをみんなに伝えたら
1000人がイイネを押すよー!」

と  フェイスブックやったことないのに
昨日はイイネを連発
ハイテンションだった


2018年1月22日月曜日

1月21日の手紙



「いい天気になっていますね

私もなかなか
うまく前に進むのがむずかしい

こんな大きな病気に
2回もなってしまってすみません
すみませんでございます

パパ  あの写真
上手にとれすぎくらいだよ」



父の真似をして
カタイ文章にしてみたそうだけど
すぐにくだけてしまうのが母


先日  父が元気な日
母に会いに行こうとして
朝から髭剃って  お風呂入って
ウォーミングアップの散歩したら
力尽きてしまってお見舞いには行けなかったけど
その時さっぱりきれいになったので
写真を撮って  と父

お見舞い行けなかったけど
良いお土産になった



父も母も  口を揃えて
長嶋茂雄に似てる!というその写真

母が
長嶋茂雄過ぎてピンとこない
と言っていたことは
父には言えないな


2018年1月21日日曜日

1月20日 手紙あり



母の影響か
父も私に
「ありがとう」と
手紙が来た

昨日はまた寝込んでいた父
感謝のお手紙が書けるなんて
ゆとりあるじゃん



戦争で  生まれた時から父親を知らない父は
弟や私を叱れなかったみたいで
言いたいことがある時は
ベッドの上に手紙が置いてあったな

大人になってからは
メールでやりとりするようになって
父の心の中が伝わってくるようになった

孫ができたけど
子供の方がかわいいと思った  とか
そんなこと思ってるとは
黙っているばかりで
全然わからなかった


今も黙ってる時でもきっと
いろんなこと思ってるんだろう



明日から寒くなるみたい
父が母に会いに行くのは
またあったかくなってから


2018年1月20日土曜日

1月19日 手紙あり



昨日は父がまた母に返事を書いて
母は父と私にまで手紙を書いてくれた

父も母も元気で
前向きでいてくれると嬉しい

でも
元気が出てきたら出てきたで
いろいろあるもんだ



母の病室には
まつざかけいこやうえとあやや
てんどうよしみが看護に来てくれたり
ふじいふみややおぐりしゅんも
出没するらしい

他の看護師さんに話してみたら
守秘義務があるので言えないと

そんなわけで
みなさんお忍びだから
声をかけるのに躊躇してしまうのだと


楽しそうだから  まあいいけどね


2018年1月19日金曜日

1月18日 手紙なし



昨日  ケンチャンが
ゆっくり出かけてきていいよ
と言ってくれたので
久しぶりに海を見に行ってきた

海岸線に出たら
大きな夕陽が沈むところで
なんだか  帰ってきた実感が湧いてきた
私はここで育ったんだったな



50%の確率で  元気に起きてきた父は
「これからは  死んでも良いから
焦らずにゆっくりやる」
と言った

ずっと  死ぬのが恐くて
いろんなことができなくなってた父

この発言
相当の進歩

でもここで浮かれないぞ

まだまだ50%だもの


2018年1月18日木曜日

1月17日の手紙



「パパ  ありがとう
ないてないてなみだが止まらないよ

パパも元気出して
これからの生活を楽しもうね」



初めての父からの長い返事に喜んだ
母からの手紙

おばちゃんもお見舞い来てくれていて
一緒に喜んでくれた

母の字  大分読みやすくなってきた

声も大きくなってきた

もうすぐ父に会えるかな


今日はまた
父は部屋にこもったきりだけど

寝てる日と起きてる日が
半々くらいになってきたら
確率も50%に上がるかな



今日母は  病室に私が着くなり
「おひとりですか」
と言った

昨日の返事読んじゃったら
そりゃ期待しちゃうよね


きっとあともう少しで会えるけど
期待しないでのんびり待とう


2018年1月17日水曜日

1月16日 父 手紙の返事を書く



二日間ろくにごはんも食べず
寝込んでいた父が
今朝は元気に起きてきた

前によくあったパターンの
 躁状態でもなく
落ち着いた様子で
「昨日はごはんを食べれなくてごめんね」
と言った


普通に朝ごはんを食べて
いつもの眠気も訴えず
昨日の母からの手紙を読んで
「お母さんからの手紙は
仏様からの手紙だと思って読んでるよ」
と言った


そう言ってすぐに
手紙の返事を書き始めた

手紙の返事なんて
今まで一度も書こうとしなかった

今までもらった分の全部を返すように
長い長い返事を書いた



母が倒れてから
一ヶ月ちょっと
毎日父を見てきたけど
こんなに元の父を感じられる日はなかった

母の逃避かと思ってしまったことも
私自身の逃避の気持ちの色眼鏡で
そう見えてしまったようで
昨日の母は  ちゃんと未来のことを
みんなが良いと思われる形で
考えてくれていた



父も母も  辛い思いをしながらも
思いやりの気持ちを取り戻してきてくれている

私はふたりの中にも仏様がいることを
いつも覚えておこうと思った


2018年1月16日火曜日

1月15日 手紙紛失



リハビリの時間に
手紙を書いたという母

父と私に宛てた手紙だったそう

ピンクの薄い紙
その辺にあるよ
と言うけど
どこを探してもない


こういうことが  時々ある

母の頭の中で繰り広げられる現実

一応付き合ってあげている


でも  ほんとの現実の話をしようとすると
意識的にか無意識か
さらっと違う話をしてきて
私には付き合ってくれない母

母の未来は私の未来でもあるんだけど
言われたくないことから
逃避しているようにも見える



未来が見えてこないと
それとも見えてるからか余計に
村が恋しくなる

窓からは木と空しか見えない
山の中の家

大好きでずっと一緒に暮らしたかった人達



考えてもどうにもならないことを
考えたって悲しいだけだな

今ここに既にある良いことに
ちゃんと目を向けなきゃあ


2018年1月15日月曜日

1月14日 手紙なし



ちょっとずつ回復している父と母

年齢的にも
完全に元に戻ることはもうないけど
元気そうだったり
幸せそうにしていてくれたら
それでいい


離れて一ヶ月経っても
まだふたりは会えないけど
母の声はまだ小さくて
すっかり耳が遠くなった父には
何を言ってるか聞き取れないだろう


昨日は父がうたた寝中に寝ぼけて
お母さんが来たよ!と言った

きっとお母さんのつよーい念が
届いたんだね  と笑った

もう一ヶ月も
会いに行ってないからなあ  と父

でもまだお母さんの声は小さ過ぎて
パパには聞こえないよ
もっと大きい声が出るようになったら
ちょうどその頃に会えるんじゃない
と言ったら
そうだね  それくらいがちょうどいいかもね
と納得していた



母はもう  割り切れたかのように
パパは私に会うのが恐いのよ〜
と言っていたけど
それって昨日おばちゃんが言ってたことじゃん  と
ツッコミを入れたかった

おばちゃんはいつも
的を得たことを言ってくれるから
母もなるほど  と思ったみたい


まあ  ふたりとも
寂しさを乗り越えたのなら良かった


2018年1月14日日曜日

1月13日 手紙なし



ここのところ
喉の詰まりを訴えることが多くなっている父

食事療法をしたいのだけど
思うように食べてくれない
難しい


喉のつまりは  病気の症状でしかないのだけど
何かが詰まって取れない  と苦しがる

苦しいのはわかるけど
そういう感覚が出てるだけだよー  と
毎日説明しているけど
本人の現実は
何かが詰まっていて苦しい  らしい


それでも私は説明し続け
父はうんうんと聞いてくれる

それもそうかもね
とか言いながら

父は
美穂には本当のことなどわからないんだ  とか
しつこい  うるさい  とか
もっとこうしてくれ  ああしてくれ  とか
一切言わない

いつも穏やかな顔で
ケンチャンや私を見ていてくれて
辛いときは人に何かを求めることもなく
ひとりで辛がっている
看病するには  全然難しくない人だと思う



しかし  父の病状たるや  なかなかの複雑さ  笑
大分絡まった糸が解けてきたけど
なかなかすんなりはいかない

やりがいあるけど
サボリ魔の性分が邪魔をする

さっさと片付けて
パーッと遊びに行きたくなっちゃうな


2018年1月13日土曜日

1月12日 一ヶ月記念日



母が倒れて  ちょうど一ヶ月経った

母が
「こんなことになって
あんた  ごめんね〜〜!」
と大きな声で言った

そんなこと思ったり
言えるようになったんだね〜〜  と
回復を喜んだ



父と母を見ていて
脳に何かしらの障害があると
他者に配慮できなくなるんだなーと感じていた

まあ  しょうがないな  と思っていたから
私やケンチャンの立場に立って
考えてくれるようになった母は
確実に回復していることになる


転院先のリハビリ病院も決まったし
からだも少しでも
動けるようにしていかないとね

一ヶ月記念日としては
順調  順調


2018年1月12日金曜日

1月11日 手紙なし



今日は寒いけど  すこぶる快晴!

鎌倉の冬は  ほぼ毎日快晴だけど
今日は特に  晴れているように感じる


昨日の母とも
今朝の父とも
脳みそにかかった雲が晴れてきたように
ふつうの話ができること
なんてうれしいんだろう


こういう喜びと
支えて想ってくれてる人達がいるから
また明日曇りだったとしても
雨だったとしても
前を向いてがんばれる

まだまだ先は見えないけど
とりあえず今日は晴れ


今日はそれでいいや

うれしい


2018年1月11日木曜日

1月10日の手紙



「宮本君が来てくれたので
元気出して手紙書く気になった

パパの心の中がどんなふうになっているか

なんの心配もないことを考えてみてね

この先だって  パパが考えているほど
心配することない

私はもうなるようになると思うけど
あんまり考えすぎないでね

まだまだどんどん変化していくよ
それを楽しみにしてる

毎日がリハビリの生活
心にもリハビリ
大変だけどのりこえようね

心がせまくなってるから
心配事を作っていると思うよ
心を強くもってね」




昨日はケンチャンが
お見舞いに行ってくれた

ケンチャンは元々  よく電話で
母の話し相手をしてくれてたので
昨日もゆっくり話せて
お互い楽しかったよう

手紙もずいぶん
がんばって書いたなあ



夜ごはんの後に手紙を読んだ父は
「消化に悪い」と一言

自分の辛さは
他の人にはわからない  と
思っているのかな

相変わらずの突っぱねぶりだけど
それでも手紙書いてほしいんだよね?
と聞いたら
笑って  うん  と言った


複雑なお年頃やな〜


2018年1月10日水曜日

1月9日 お見舞いお休み



2週間ぶりに弟家族が来てくれたので
昨日は母のお見舞いは弟家族にお願いして
2週間ぶりにケンチャンとふたりで外に出た

でも
結局ふたりで出ても
早く帰らなきゃ〜って
追い立てられるような日々
こころの自由を獲得するのは難しい


にわとりを飼う玄米夫婦のことを思い出した
近くに出る時は  にわとりと一緒
遠くに行く時は  どちらかが家でにわとりのお世話
ふたりで出かける時は
にわとりのことを考えて
かわいそうにならないように出る

それでもふたりのこころは
そんなに不自由ではなさそうだ



うちももう少し
父と一緒に出かけられたらいいのにな
昨日は父が元気だったので
ちょっとだけドライブを試みたけど
車が進むごとに顔が硬直していく父を横目で見つつ
和ませるべく言葉を考え
声をかけていたら疲れた



「あせらず」そして「あきらめず」と書かれた
淡路島のお友達からの今年の抱負のお手紙が届き
自分を重ね合わせて励まされ
お友達もきっと
こちらの状況と重ね合わせて書いてくれたんだろうなと
想像して  素敵なことするなあと思った


2018年1月9日火曜日

1月8日 手紙なし



昨日の母は  手紙の手の字すら
書く様子がなかった

母の妹さんが来てくれていて
楽しそうに話していたので
まあいいでしょう

ほんとに仲良し姉妹で
よく来てくれるおばちゃん
心強い

病気の人生を送っている母を
一番よく知ってるのがおばちゃんなのかもな



おばちゃんが帰ってから
リハビリの話になり
これからまだ長生きするんだから
リハビリやっといた方がいいね  と言ったら
途端に梅干し食べたみたいに
顔をぎゅっとさせて辛がった

あまりに辛そうなので  謝った
母はずっと病気の人生なので
私が小さい時からいつも
早く死にたいって言うのが口癖だった

今回も  倒れて間もなく弟が会いに行ったら
「死ぬチャンス逃した!」だって

父が命を救ったようなものだし
死にたいのに死ねない母は
まだまだお役目があるのだろう



からだは不自由だけど
こころが解放されて自由になったら
今までよりずっと幸せになれるよ
お母ちゃんならきっとそうなれるよ
と言ったら
「解放されたい」と
とても無垢な表情で言った
かわいかった



今日の父は  朝から元気
久しぶりに朝ごはんしっかり食べて
散歩に行けたのも久しぶり

突然こういう日がやってきては
また去っていく


そのうち  今日みたいな日が
多くなってくるイメージしながら
今日も慌てず浮かれず  着実にいこう


2018年1月8日月曜日

1月7日 手紙なし



一昨日の手紙で
本当に心を振り絞った母は
その後からだが痛くなり
2時間寝るのが遅くなったと
昨日は手紙を書くのを断念

ミミズ文字を書きたくないと
一生懸命からだを起こして書いたのも
痛くなった原因かな


その代わり
年末年始忙しかった弟家族が
そろそろ来てくれるので
弟に  父に会いに連れてってくれるよう頼む
と言っていた
嫌とは言わないはずだ  と


諦めないけど聞き分けの良い母なので
かわいい息子とゆっくり話して
こころをおさめてくれたらいいな



父はここ数日  不安定で
1日の間に  いろんな病とか症とかが
ひょこひょこ顔を出す

夜中に起きてきて
いろいろやりたいことやってみたり
夢の続きの話しをしたり


もう慣れてきたけど
やっぱり朝まで寝れた日の方が
元気そうなので
こちらもおさまってくれるといいな


2018年1月7日日曜日

1月6日の手紙



「パパ  昨日行ったけど  会えずに残念だった

心の中をふりしぼって書いてます

パパの辛さが伝わってくるけど
私にはどうすることもできないけど
いつか笑って話せる日が来ると思う

みんなこんなふうにして
回復していくんじゃないの
急がないでおこうね」




お医者さんが見せてくれた写真では
母の脳は半分まだら模様だからなのか
半分は妄想の中で生きているようで


昨日は救急の人にお願いして
玄関先まで連れて来てもらったそう

でも2階の父の部屋まで行くのは
無理だったと悔やんでた



今のところ  頭と右手しか動かせない母だけど
自分がいかに不自由かより
父を励ますことに一生懸命で


そしてその相手は  どんなに励ましても
受け取ってくれない父
きれいごとだ  とか
責任取ってよ  とか言って
(すごーくやさしい言い方だけど)
励ますごとに門前払いしてくる


何だったら届くのかな
ポストの入り口が小さ過ぎる




そういえば
母の妄想の世界では
ケンチャンが病院で働いてることになっている

救急車で運ばれてすぐ
点滴を打ってくれたのがケンチャンで
声を聞いてすぐわかったと

また  注射がすごく上手らしいし
大きな声で他の看護師さんを叱ったり
なかなかのもんだよ〜と
感心してる



そうやって無意識にでも
自分が安心できる世界に生きようとしているのかな

そこも父と反比例してて面白いな


2018年1月6日土曜日

1月5日の手紙



「今日  朝から家に帰ろうと
がんばってみたけど
思うようにいかない
5分の場所なのにね
こんなもんかね
またがんばってみる」




どうがんばっても今は病院を出られなそうな母が
がんばって父に会いに来ようとする

ちょっとがんばったら家を出れそうに見える父は
毎朝母に会いに行く気持ちを抱いては
やっぱり無理だとがっかりする

父ががんばれたら会えるのかな
と思うけど
父も多分  もうすでに
母と同じくらいがんばっている


どうやら答えは
がんばることの中にはないのかも




それにしても母

毎日手紙書く!と自分で言い出したのに
父からの返事がないからつまんない  と

言い出しっぺなんだから  それでも書こうよ
とペンを持たせたら
「また書かせるのかよー!」と
大きく元気な声が出た


声  ちゃんと出せるじゃん!


2018年1月5日金曜日

1月4日 手紙なし



今日はパパに手紙書かない
喜んでるように思えないから
パパ返事くれないし



と  母

早速くじけた  笑




家に帰ったら父が
今日は手紙ないね  と

母が言ってたことを伝えたら
目をまん丸くして
そんなことないって
楽しみにしてるって
言ってくれた



早く母に伝えてあげなきゃ

今日は張り切って書いてくれるだろうな


2018年1月4日木曜日

1月3日の手紙



「パパ  読んで
私書いてリハビリになってると思う
あんまりおしつけがましく思わないでね

書いても心がスッキリするわけじゃないけど

パパならスッキリすることなあに」




父がスッキリすることわかってたら
今の病気も早く治るだろうにな


母は長年  からだが不自由で
いつも痛みに悩まされていたから
毎日日記に辛さを吐き出して
心をスッキリさせていたようで



それにしても
昨日母が「パパ」と書いた字が
ミミズ文字ではなく
とても上手に書けていたので
ミミズじゃないじゃん!と
びっくりして褒めたら
からかうなと言わんばかりに
すごくうれしそうに笑ったのが
すごくうれしかった


2018年1月3日水曜日

さみしさのりこえ



「心配ないよ
考えてもあんまり意味ないよ
なんとかなる
どうにかなる
あんまりかんがえすぎると
頭ぐちゃぐちゃになっちゃうよ」




大晦日か元旦は
きっと父に会えると
期待していたであろう母は
とてもさみしそうで
病室にひとり置いていくのが
とても悲しかった



しかし昨日は
そんな心配をよそに
またたくましいお母ちゃんに戻っていた


この言葉が父に良い影響を与えるかは
微妙だけど  笑



パパ  手紙  喜んでるのかな?
と母が聞いてきた

ふふふ
どうだろうねえ〜

それでも毎日書くと  母

うん  いいねえ



感情があまり表面に出てこない
とても穏やかな父と
明るくて感情的な母だけど
中身は似たような感じだということは
今この状況になってわかってきた


2018年1月2日火曜日

始まりのご挨拶



「パパ  大丈夫
今だけのことよ
早く元気な顔見たい
さみしくなる」



からだが動かなくなって入院中の母が
ミミズが這いつくばったような字で
こころの病気で外出できない父へ
元旦から始まった手紙

早くふたりを
会わせてあげたい


でも
ふたりとも  離れていても
不思議と繋がっていて

冗談言ったり  笑える日も増えてきた



ケンチャンと私も元気です

みなさんもお元気ですか



2018年も
みなさんにとって
一番良いようになりますように



新しい年の始まり

今年もよろしくお願いいたします