腰痛が良くなったケンチャンは
毎日草刈りをしてくれている
バリバリバリと破裂音を立てて
排気量もすごいらしい重たい草刈り機で
今となっては新居と山の家を合わせた
二軒分の広範囲を
少しずつだけど持ち前の完璧主義で
見事サッパリと刈り上げていく
新居には山も田んぼも畑もあるので
まずは栗が落ちたら拾えるようにと
山の斜面の栗の木の下を刈るよう
地主さんからの指示でバリバリ
そのあとは田んぼ
田んぼは田んぼのみならず
田んぼをぐるりと囲む法面まで刈るのだから
丸一日かかってしまう
村人のそれぞれの土地の境界は曖昧で
なぜかとても複雑に区切られている
必ずしも家の周りが自分の土地ではない
みんな家から車で出かけて
田んぼや畑をやっていたりする
そしてみんなしっかりその境界に従って
各自草刈りをがんばっている
年に3、4回は刈らないと
ボーボーのジャングルになって
マムシとか危険な生き物の住処になるから
がんばる選択しか今のところない
大変なことだけど
村の人達を見ていると
草刈りさえちゃんとしてたら
穏やかに暮らせるんじゃないかと思えてくる
特別なことをしなくても
草刈りをちゃんとしていたら
幸せに生きていけるような気がなぜかする
ケンチャンは毎日
徳を積んでいるような気がする
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